大統領、マラウイ大学の4人の講師の無条件復職を命令

 マラウイの各メディアが一斉に、ムタリカ大統領が国営放送を通じてマラウイ大学のチャンセラー校の解雇された4人の講師の無条件復職を命令したことを報じています。

 マラウイ大学チャンセラー校は、今年2月に政治学の講師がチェニジアとエジプトでの大規模デモについてどのように考えるかということを授業の中で議論したところ、警察より講師に対しての召喚があり、これに対して講師側は学問の自由が侵害されたとして、警察側に謝罪を求めて、抗議デモ、授業ボイコットする事態となりました。大統領と教育大臣は、国家安全のためであるとし、警察側を擁護する立場をとり、その後、4月に大学理事会が4人の講師の解雇、大学を強制閉鎖しました。事態は完全に泥沼化し、法廷闘争に進みましたが、6月に大統領が謝罪はないものの学問の自由を保証すると演説し、大学の再開を要請しました。これにより、事態は収束するかと思われたのですが、4人の講師の復職が認められなかったことから、大学は再開されたものの授業ボイコットが再び続いていました。この問題は、7月20日の反政府デモの請願書の中でも要求されました。その後、再び、8月に抗議デモが実施され、大学理事会は再度、無期限の大学閉鎖の措置をとりました。9月に入り、8月に予定されていた反政府デモが国連の調停により中断され、その結果実現された市民団体と政府連絡委員会の話し合いの中で、この大学の問題が話し合われ、4人の復職が認められました。しかしながら、最終的に大統領が承認しなかったため、議論が白紙に戻っていました。その後、今月に入り、大統領はマラウイ大学の医学部の卒業式で演説し、その中でも4人の講師を非難するコメントを述べていました。こうした中での突然の無条件復職を認める命令だったため、私自身もそうですが、メディアも驚きを持って伝えているようです。

 今回の無条件復職は、ドナーからの援助金の凍結により外貨不足に苦しむマラウイ政府が、ドナーからの強い要求に応じたものだと見られています。ムタリカ大統領はこの声明のあと、2年ごとに開催される英国連邦の首脳サミット(10/28-30)に出席するためオーストラリアのバースに向かったようです。

 いずれにせよ、これで大学が正常化されればと思います。また、今回の対応は、英国などのドナーとの関係の正常化を目指すステップではないかと期待しています。