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副大統領が昇格の見通しか?

マラウイのムタリカ大統領の死去は、政府の公式な声明を待たずに海外の主要メディアが報じたため、昨日の金曜日には、全世界で報じられています。日本のメディアも海外メディアの配信を受けて主要なメディアが報じています。今後の焦点は、副大統領のジョイスバンダ女史が大統領の憲法の定めに従って昇格するかです。ジョイスバンダ女史は、政府側から公式に死去の報告を受けて、土曜日の午後に会合を行うため、閣僚に電話でしたことが報じられています。

副大統領は、与党から除名処分を受けて、野党の人民党の党首となり、政府側と対立していました。このため、与党の民主進歩党(DPP)は、故ムタリカ大統領の後継として、弟のピーター・ムタリカ外相を推していました。大統領は、木曜日の朝に心臓発作で倒れ、リロングウェ市内のカムズ中央病院に運び込まれたときには、関係者に証言によるとすでに心肺停止状態で、治療が出来ずに死亡していたようです。しかしながら、政府は、南アフリカに緊急搬送し、政府が死亡の発表を遅らせたのは、急死により、与党側の対応がとれていないための時間稼げではないかと見られています。もちろん、政府が公式発表しなくても、国内外のメディアを通じて国民は事実を知っています。

海外の高官も、すでにジョイスバンダ女史とコンタクトをとっているようです。

与党側と野党側の権力争いに発展するのかどうか、非常に流動的な情勢です。大統領の死去に伴い、政府は国民に10日間、喪を服すことを呼びかけています。

燃料、砂糖不足が深刻化

恒常的な外貨不足から燃料不足が続いているマラウイですが、特に直近の4日間程度は供給がほぼストップしたようで、ガソリンスタンドに長蛇の列ができたことを伝えています。余談ですが、今年は、雨が例年より多くまだ雨が降っているようです。4月前半には雨が降らなくなり、乾季に入るはずなのですが。リロングウェでは、少なくとも3月10日までに平年と同じ900ミリの雨がすでに降っていたように思いますので、例年より多いことは確かです。(東京は年間1500ミリです。参考まで。)

エネルギー大臣は、ジンバブエ方式と読んでいるようですが、石油を扱っている会社(Pumaとか)とかが、直接、タンザニアやモザンビークで石油を買い付けることを認めるようにするから、1ヶ月以内に改善すると週末コメントしたようですが、たぶん、市民は信じていないと思います。ちなみに世界的に見ると中東情勢の悪化により原油価格が高止まりしており、日本も7週連続ガソリン価格が上昇していることが報じられています。日本は現在、1リットル158円ぐらいになっています。(マラウイは380MKなので190円です。)

また、砂糖が生産調整されているため、砂糖不足も深刻化しています。2キロ入り450MKと従来の価格(1キロ220MKぐらいだったので。)で販売するということで、南部のブランタイヤのリンベ、首都リロングウェのスーパー(Shoprite U-Save, Chipiku)などでは長い行列が出来たことが報じられています。(先週、ゾンバでも行列が出来たようです。)他店では、品不足から価格を吊り上げ、2倍の値段で販売しているところもあるようです。

上記に書きましたが、原油価格が高止まりしていますので、仮に外貨不足が緩和したとしても燃料不足が厳しいことには変わりありません。生産調整している砂糖のほか、これから観光シーズンになりますが、観光部門も外貨不足や燃料不足で、ダメージを受けています。観光部門にも観光事業課税として1%の税金を政府が財政難なので課しているようで、厳しいようです。本当は、外貨獲得手段として、マラウイ湖などの観光資源を活用して観光を推進し外国人旅行客を誘致すべきだと思うのですが、ダメですね。マラウイ湖は、淡水のガラパゴスと呼ばれるほど、固有種が多いところです。観光インフラを整えプロモーションすれば、ある程度の周遊の観光客が流れてくるはずです。世界自然遺産をうまく活用してほしいです。

3/13から南ア航空もネットでマイレージの事後申請が出来るようになった!

日本とマラウイを往復する場合、次のような経路があります。

  • 日本⇔香港⇔ヨハネスブルグ(南ア)⇔リロングウェ(マラウイ)
  • 日本⇔バンコク⇔アディスアベバ(エチオピア)⇔リロングウェ(マラウイ)

前者は、ANA+南ア航空、後者は、ANA+エチオピア航空の組み合わせとかがあるのですが、南ア航空もエチオピア航空もスターアライアンスのメンバーなので、ANAのマイレージカードがあると貯めることができます。ただ、リロングウェやヨハネスブルグの空港でマイレージカードを提示しても、なかなかマイレージがうまく積算されず、結局、事後申請を郵送で行なっていました。

今回も本帰国の際に南ア航空とANAを使ったので、マイレージの事後申請を郵送でしようとウェブサイトを見ていたら、なんと3/13より、南ア航空もエチオピア航空もウェブで申請が出来るようになっていました。Eチケットと半券があれば、オンラインで申請できます。便利、便利。人によっては、搭乗証明としてEチケットと半券を所属先などに提出する場合があるかもしれませんが、提出前に忘れずにコピーをとっておきましょう。特にマラウイ赴任時に今までだったら、うまく積算されていなかったら国際郵便で郵送しなければならなかったのですが、その手間がなくなります。

日本からリロングウェまでは距離があるので、マイルは片道でも結構貯まります。航空券の種別によってマイルは異なりますが、エコノミーで片道7,000マイル前後も貯まります。貯めないともったいないですよね。ANAのマイレージカード、無ければ日本にいるときに作っておきましょう。

エチオピア航空は、昨年の12月よりスターアライアンスに加盟しており、2011/12/13以降搭乗分がマイレージの対象となります。昨年のクリスマス休暇に、タイに行くときに利用したので、こちらの分もあわせての事後申請を先程したところです。

IMF、マラウイ政府にクワチャ切り下げを再要求

外貨不足で困窮するマラウイですが、国の体質を改善させるべく昨年からIMFはマラウイに対して、再三に渡って、通貨クワチャの切り下げを求めています。昨年8月に10%切り下げを実施、1ドルを150MKから165MKに切り下げましたが、まだ十分でないとし、昨年の12月にIMFチームがマラウイを訪問し切り下げを要求、大統領は拒否、そして、この3月にも再度IMFチームがマラウイを訪問し、土曜日に再度切り下げを要求する声明を発表しています。

マラウイの公定レートは1ドル165クワチャですが、闇レートは1ドル300クワチャ近くまで下落しています。これに伴い、物価の高騰が続いており、インフレ率は1月が10.3%、2月が10.6%と、今年に入って2桁の物価上昇率となっています。マラウイはもともと国家予算の約4割をドナーからの援助によって賄っていましたが、昨年は、統治や人権問題、英国高等弁務官の追放により、ドナーの援助が凍結され、ドナーからの援助は2割程度にとどまっています。このため、IMFは、歳入がない分、支出を抑えること、そして、クワチャの切り下げの実施を強く要求しています。

マラウイは現在、外貨不足、燃料不足により、品不足が深刻化しています。今週に入り、外貨不足、燃料不足が直接の原因ではないようですが砂糖が工場の製造ラインの故障で生産できず砂糖不足となり、1キロ550クワチャ(225円)と急騰、ゾンバの南ア系スーパーのショップライトでは、まだ1キロが215クワチャだったため、水曜日に長蛇の列ができたことが報じられていました。砂糖は、マラウイ人は大好き。紅茶に砂糖をガンガンに入れるので、心理的なダメージが大きいと思います。

中国、アフリカ市場でシェアが3倍以上

今日の日経新聞に、3/29付の英ファイナンシャル・タイムズ紙の配信記事として、「アフリカで売れまくる中国製品、日欧企業は劣勢に」という記事が掲載されています。情報源は、スタンダードバンクのレポートのようで、アフリカ市場における中国の輸出企業のシェアはこの10年間で3倍以上に拡大、昨年はアフリカ大陸全体の輸入の16.8%以上に拡大したことを報じています。

一例として、中国のファーウェイ(華為技術, Huawei)が製造する格安スマホが取り上げられています。ケニアでは、現地携帯会社のサファリコムと提携し、100ドル以下のスマホを提供しているとのことです。ちなみに日本では現在スマホは4?6万円ぐらいで売られています。IDEOSというスマホだそうですが、ケニアのスマホ市場の45%を獲得したとのことです。ノキアとかが焦っているでしょうね。

スタンダードバンクによると、中国企業はアフリカ大陸にすでに約130億ドルを投資しているとのこと。約1兆円です。

その一方で、中国製の模造品、粗悪品相変わらず多いと述べています。

マラウイでもファーウェイの携帯電話はすごいシェアでしたね。まだ、スマホは普及していないので、ノキアも顕在ですが、格安スマホが入ってきたら、一気にシェアを獲得しそうです。日本は高品質、高機能の製品が売りですが、このノウハウを生かして、高品質、シンプル、低価格の製品が産みだせれば活路があるのではと思います。とにかく中国の勢いは数字からも証明されたことになるようです。日本に戻ってからスマホに機種変更しましたが、本当に多機能すぎます。

大統領辞職せずと表明、米国は改めてMCC通じての支援見合わせを表明

 2月後半から政府側は反政府勢力に対しての取り締まりを強化しており、情勢は極めて不安定となっています。3/15に宗教系市民団体の社会問題委員会(PAC)の会合に出席していた市民団体らが、大統領に対して、60日以内の辞職を要求しました。これに対して大統領は、先週の木曜日(3/22)に辞任の意思がなく任期まで務めることを表明しています。辞任させようとするなら、憲法を改正して三選可能あるいは終身制にすると、息巻いているようです。

 また、野党民主統一戦線(UDF)の大統領候補の一人である前大統領ムルジの息子が、リロングウェ郊外のエリア24の学校で日曜日(3/18)に集会を行おうとしたところ、警察に阻止され、警察と衝突しましたが、火曜日(3/20)に移動中の検問時に逮捕されています。彼は、土曜日の未明に保釈金を払って釈放されています。前大統領のムルジも土曜日に療養中の南アフリカから帰国し、現大統領を非難する声明を発表しています。そのほか、同じ土曜日に副大統領のジョイス・バンダ女史が率いる人民党が集会を行おうとしましたが、政府側に阻止されています。前大統領も副大統領ももともと大統領の仲間なんですよね。ホントに理解するのが難しいです。ムルジ前大統領は国民にムタリカ大統領を後任として選んだことを謝罪しています。

 さらに、米国は金曜日(3/23)に、すでに昨年の7月の全国規模の反政府デモにより織り込み済みなのですが、米国ミレニアム挑戦公社(MCC)を通じて拠出が予定されていた電力セクター向けの3億5000万ドル(約300億円)を見合わせていることを再度発表しています。今回再度発表しているのは、6月にリロングウェで予定されているアフリカ連合首脳会合にスーダンのアル・バシール大統領が出席する見通しのため、この動きを強く牽制したものだと見られます。スーダンのバシール大統領は、ダルフールの大量虐殺などで国際刑事裁判所(ICC)に告訴されています。マラウイは、昨年10月にも東南部アフリカ市場共同体(COMESA)首脳会合の際に、ICCから拘束要請が出ていたものの、同大統領の首脳会合への出席を受入、その後、拘束することなく出国させています。米国からすると警告を無視されている形になり、米国市民からの理解が得られず支援が難しい状況です。

というわけで、非常に慌ただしく緊張した状況が続いています。今週の水曜日(3/28)が市民団体と政府との対話期限であり、6月にリロングウェでアフリカ連合首脳会合の開催が予定されていますので、6月の首脳会合までがひとつの大きなヤマという気がします。

司法スト終結、月曜日から再開へ

 今年の1/9から約2カ月半に渡って、司法スタッフが給与アップを求めてストを実施し、司法業務は空転していましたが、昨日の土曜日に政府と司法スタッフの間で協定が合意に達し、署名に至ったため、3/26の月曜日から司法業務が再開される見通しとなっています。

今回の合意では、給与引上げと今までの引上げ相当分を滞納金という形で支払うということで労働者側の言い分に応えた形になっているのですが、その給与となる原資はどこから出てくるのかは不透明です。もともと2006年に40%アップ、2009年に50%アップが政府承認されたのにも関わらず実施されていません。司法事務の給与は月額100ドルぐらいのようですので、倍の200ドルぐらいに引き上げるということになるだと思います。

司法事務が再開されることにより、留置場や刑務所の満杯問題も解消されることを期待したいものです。定員の倍以上が収容され、あまりにもヒドイ環境のため死亡する人も出ています。メディアの写真を見た時も人間が交互に折り重なるように横たわっており、目を背けたくなるような状況でした。

大使館、アフリカを中心の拡大方向

 日本の外務省は、現在134カ国に置いている在外大使館を増やし、今後5年間で約150とするとのことです。アフリカ中心に増やすようで、現在アフリカ54カ国のうち日本の大使館32カ国しかないとのことで、中国が49あるのに対抗していこうという考えのようです。

在マラウイ日本大使館も2008年1月に開設したばかりです。質・量の両方のバランスを考えてほしいです。

アフリカでのインターネット快適さガーナがトップ

 インターネット接続状況測定サービス「スピードテスト」の開発会社が国別の下りスピードの動向を発表しているそうですが、ガーナが過去30日ベースの平均が5.43Mbpsでトップとのことです。2位はケニア、3位はアンゴラとのことです。現在、トランジットで滞在している南アはサブサハラ以南ではもっとも発展していますが、6位とのことです。速度は、2.98Mbpsです。

 マラウイは、同じ統計データのソースが手元にないのでわからないのですが、最下位グループです。体感ベースだと256Kbpsぐらいです。インターネット基盤が整備されるとマラウイは英語圏なので非常に有利です。しかし、内陸国であるため、海底ケーブルに接続するためには、モザンビークあるいはタンザニアを経由することになり、回線レンタル利用料を支払うことになるため、通信コストが高くなり、なかなか通信料金も下がらず厳しい状況です。

南アのKFCは660店舗

 南アのヨハネスブルグにトランジットしているので、南アのニュースが目に入ります。同じグループの人の中でも街中のファーストフードの看板を見ると浮き足だっていますが、まぁ、マラウイにはないのでわからないでもありません。(まぁ、日本に帰国すると至るところにあるのですが・・・)南アで人気ナンバーワンは、KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)だそうで660店舗、マクドナルドの4倍とのことです。つまり、マクドナルドは140店舗ぐらいってことですね。

アフリカ大陸全体で見ると市場が大きいので、政情が安定し、流通基盤が整えば、非常に魅力ある市場だと思います。やはり、道路とかの社会インフラ整備までなんとか国際協力で出来れば、あとは、こうした大規模資本のチェーン店とかが参入して野菜や肉などを現地で調達しようとするので、一気に経済が伸びるように思います。