お勧めのクメール遺跡
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- カテゴリ: 東北部
- 公開日:1998年08月01日(土)00:00
カンボジア国境に近い東北地方の南部には、クメール遺跡が点在しています。どの遺跡も素晴らし、アンコール王朝時代の重要な神殿として、その歴史的価値も極めて高いものです。 遺跡の規模や歴史的価値などからお勧めのクメール遺跡は次の3遺跡です。
- ピマーイ遺跡(ナコンラチャシマ県)
- パノムルン遺跡(ブリラム県)
- カオプラウィハーン遺跡(シーサケット県)
■ ピマーイ遺跡
すぐ上に記述したように、コラートから気軽に行きやすい遺跡です。コラートからの日帰りが一般的でしょう。クメール遺跡は一般的に町の郊外の何も無いところにあるのですが、この遺跡だけは、この遺跡を中心に町が形成されています。遺跡は1964年から1968年にかけてタイ芸術局によって修復され、大変きれいに整備されています。 ピマーイは小さな町ですが、ぜひ忘れずに ・ サイガム公園(大きなベンガル菩提樹) ・ ピマーイ国立博物館(クメール遺跡出土品が展示) に出かけましょう。
サイガム公園にあるベンガル菩提樹は横枝が再び根をおろし、幹になって横にご神木から広がっているのだけど、なんとなく見ているとよくわからず、その価値が理解できないのでよく観察してね。 この公園の集合屋台のような食堂には、ピマーイ名物のパット・ミー・ピマーイ(タイピマーイ風やきそば)、ソムタム(タイ風パパイヤサラダ)が有名です。ぜひ食べてみて下さい。ただし、パット・ミーは甘いです。あとソムタムはソムタム・タイとソムタム・ラオがありますが、ソムタム・タイにしておきましょう。ソムタム・ラオは、サワガニとかが入っていてお腹をこわしやすいのでご注意を。ソムタムはとても辛いです。
食事が終わったら、ピマーイ国立博物館で涼みながら、クメール遺跡の出土品を見学。ここには、ピマーイ遺跡を中心としたこの地域のクメール遺跡の出土品が数多く展示されています。オープンが92年と新しいため、とてもきれいな博物館です。
以上を整理すると、お勧めの観光コースは、
- ピマーイ遺跡公園を見学
- サイガム公園でベンガル菩提樹を見学
- サイガム公園でパット・ミーの軽食と休憩
- ピマーイ国立博物館を見学 となります。
サイガム公園とピマーイ国立博物館はセットにしてサムローで行ったほうがいいでしょう。サイガム公園まで1キロちょっとあるので、徒歩でいくのはちょっと暑い中きついです。サムローは往復で60?80Bぐらいです。サイガム公園の軽食中でもきちんと待ってくいてれます。観光の所要時間は大体3?4時間ぐらいです。
■ パノムルン遺跡
ブリラム県の南の丘標高383メートルの山の頂上に遺跡があります。修復が完了したのが1988年とのことですので、比較的最近です。神殿からの見晴らしはよく、平原を一望することができます。遠くに見えるドンレック山脈の向こうはカンボジアです。
余談ですが、昔(92年頃)、タイの富士フィルムのCMでこの場所がロケに使われたことがあります。
この遺跡への公共の交通手段はありません。ガイドブックなどを読むと、近くのバーン・タコ村よりバイクタクシーを利用すると行けると書いてありますが、ここは素直に車をチャーターした方がよいでしょう。コラートからだと2時間半、スリンからだと1時間10分くらいです。どちらからの道のりも快適です。車は大体1500B前後でチャーターできると思います。チャータのコツは全て(人数割ではなく)でいくらかで交渉しておくことです。また、廻るコースを良く伝えておきましょう。
遺跡入り口の階段を登ると目の前に壮厳な神殿に続く参道が見えます。思わず写真を撮ってしまいますね。神殿まで登っていくとあたりが一望出来て気持ちいいですよ。
パノムルン遺跡を見終わったら5キロほど南にあるムアンタム遺跡も忘れずに見学していきましょう。最近修復の完了した丘のふもとにあるこの遺跡はとてもよく整備されていて、人工池には蓮が植えられており、とても美しく、ピマーイ遺跡にもひけをとらないほど立派なものです。遺跡の横にある溜池も同時代につくられたものだそうです。
■ カオプラウィハーン遺跡
「幻のクメール遺跡」と言われるこの遺跡はタイ国内(厳密にはこの遺跡はカンボジア領土)では、最大規模を誇る遺跡です。現在もっとも注目されているクメール遺跡です。 この遺跡がなぜ「幻のクメール遺跡」と呼ばれているかを知るには、歴史的背景を理解しておく必要があります。タイとカンボジア国境上にあるカオプラウィハーン遺跡は、その昔、シーサケット県の名所だったそうです。その後、タイとカンボジアの間で激しい領土争いが繰り返され、1962年国際司法裁判所ハーグ会議において、割譲されカンボジア領とされました。その後、30年以上にわたって閉鎖されていたこの遺跡は、ついに92年にオープンされました。その後、断続的に閉鎖され、98年8月に正式にオープンされたようです。
こうした歴史的背景があって、「幻のクメール遺跡」と呼ばれているのです。地理的にはこの遺跡は入り口がタイ領土側にあり、神殿はカンボジア領土内にあるというきわめてデリケートな位置にあります。したがって、カンボジアが政情不安に陥ると再び閉鎖されてしまうかも知れません。
さて、実際に訪れる方法ですが、パノムルン遺跡と同様に公共の交通手段はありません。車をチャーターするのがベストな選択だと思います。また、カンボジア領土といっても特に出入国の手続きはありません。10キロ手前の遺跡公園入口がチェックポイントとなります。ここで、「パスポートを預ける」とガイドブックなど読むと書いてあるのですが、私たちの場合は、タイ人のドライバーが身分証明書を預けるだけでパスポートの提示を求められませんでした。ただし、パスポートを預ける場合の代替手段としてパスポートのコピーを持参しておくことをお勧めします。パスポートがなくなるとそれこそ困りますからね。 チェックポイントから10分ぐらい行くと、駐車場に到着します。道なりに徒歩で行くと、遺跡の入り口です。入り口のカンボジア側のチェックポイントを通り過ぎ、遺跡登り口で入場料100Bを支払います。あとは本神殿までおよそ600メートル、標高差およそ100メートルの参道を登っていくだけです。遺跡はかなり痛みが激しく、もしタイ側であれば、早急に修復するだろうと思われるだけに残念です。
大神殿の後ろは絶壁でその向こうにカンボジアの大平原が一望できます。標高657メートルからの眺めは言葉で表現できないほど最高です。訪れたときに天気が良いことをお祈りします。
カンボジア大平原(カオプラウィハーン遺跡)
あらためて説明するまでもありませんが、神殿はあくまでカンボジア領土であり、軍事的拠点でもあったこの地域には今でも数多くの地雷が埋められているとのことです。間違っても遺跡以外のところに立ち入らないようにしましょう。それから、パスポートは絶対忘れず持参して行ってくださいね。